ダクトの吹出し口の種類や役割とは?結露対策についても解説
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ダクトの吹出し口とは、商業施設やオフィスなどの天井部分に取り付けられている空気の通り道のようなものです。
ダクトの吹出し口にはさまざまな種類があり、それぞれ役割や適した環境も異なります。それらを理解しておくと、効率的で快適な空調環境をつくりやすくなります。
本記事では、ダクトの吹出し口の役割や種類、吹出し口が結露しやすい点について解説します。
目次
ダクトの吹出し口とは
ダクトの吹出し口とは、空調機器から送られた冷暖気を建物内に効果的に供給するための装置のことです。ここでは、吹出し口の主な役割と、吸込口との違いについて解説します。
ダクトの吹出し口の役割
ダクトの吹出し口は、空調システムにおいて次のような重要な役割を果たします。
- 冷暖気を供給する
- 空気を循環させる
- 吹出方向を調整する
ダクトの吹出し口は、冷暖気を空調システムから室内へ供給する役割を担います。冷房が起動しているときは冷たい空気、暖房のときは温かい空気を効果的に部屋に送り込み、快適な室内温度を維持するのです。
また、ダクトの吹出し口から放出される冷暖気は、部屋内の空気の循環を促します。吹出し口から放出される風は均一な気流を生み出し、室内の温度や湿度の均一化に寄与します。これにより、快適な室内環境を実現してくれるでしょう。
さらに、ダクトの吹出し口に可動部品を備えている場合は、吹出方向を調整できます。風の向きや範囲を制御できるため、特定の場所に重点的に空気を供給することも可能です。
吹出し口と吸込口の違い
吹出し口と混同しやすい空調システムの装置に、「吸込口」というものがあります。
吹出し口と吸込口は空調システムにおいて対照的な役割を持ちます。吹出し口は冷暖気を建物内に放出する装置であるのに対して、吸込口は建物内の空気を取り込む装置です。吹出し口と吸込口は、それぞれ適切な位置に設置することが重要となります。
ダクトの吹出し口の種類
ダクトの吹出し口には、さまざまな形状や機能を持つものがあります。公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)令和4年版によると、以下の5つに分類されています。
- シーリングディフューザー形
- ユニバーサル形
- ノズル形
- 線状形
- 床吹出し口
シーリングディフューザー形
シーリングディフューザー形は天井に取り付けられた吹出し口で、アネモスタット型(アネモ型)とも呼ばれます。オフィスビルや映画館、ショッピングモールなど、幅広い場所で利用されているため、一度は目にしたことがあるはずです。
丸型と角型の2種類の形状があり、両方ともコーン状の羽根から気流が放射状に広がり、中コーンを上下させることで気流の方向を調節します。中コーンを上に上げると気流は垂直方向に吹き出し、床まで暖かい空気を届けられる暖房に適した気流になるのが特徴です。一方、中コーンを下げると水平方向に気流が吹き出し、部屋全体へ冷気を拡散させます。
内側に温度センサーが内蔵されているタイプは、オート型アネモと呼ばれます。このタイプは、室内の温度を感知して中コーンの動きを自動で制御します。
ユニバーサル形
ユニバーサル形は壁や天井に取り付けられることが多く、吹出し口だけではなく、室内の換気用の吸込との両方で利用される形状です。面状になっていて、格子状の縦・横のベーン(羽根)を可動させることで風向きを変えることができます。中には機器の内側にシャッターが取り付けられており、シャッターの開閉で風量調整や集じん効果機能をもたせることも可能です。
ノズル形
ノズル形吹出し口の最大の特徴は、ほかの形と比べて遠くまで風を送れることです。天井の高い劇場やホール、体育館などで使用されます。ほかにも室内の発熱量が多いレストランや居酒屋の厨房や火器を使うような工場で、スポット空調として使われることも少なくありません。
形状はお釜の先を膨らませたような二重ノズルや、丼の底に穴を開けたようなパンカルーバーなどがあります。ノズルを調整すれば吹き出し方向を変えられるため、ほかの吹出し口よりもコンパクトなところも特徴のひとつです。
線状形
線状形の吹出し口は、壁や床に沿って長く設置される形状です。一定の長さを持つスリット状の吹出し口から均一な気流を放ち、広範囲に渡る空気循環を実現します。通路や廊下など、広いスペースへの空気供給に適しています。
床吹出し口
床吹出し口は、床に埋め込まれるタイプの吹出し口です。床から上昇する冷暖気は、室内の温度を均一化する効果があります。特に床暖房と組み合わせて使用されることが多く、快適な床面からの熱や冷気を提供します。
ダクトの吹出し口は結露しやすい
ダクトの吹出し口は、冷房をつけている際に結露が起こりやすくなります。結露は周囲の湿度や温度差によって生じる現象であり、適切な対策が必要です。
ここでは、ダクトの吹出し口が結露しやすい理由と、注意点について説明します。
ダクトの吹出し口が結露しやすい理由
ダクトの吹出し口が結露しやすい理由は、吹出し口から冷気が吹き出すことによって、周囲との温度差が生じるためです。
冷房をつける際は室内の温度が低く設定されることが一般的なので、吹出し口から放出される冷気は、周囲との温度差が大きくなります。この温度差によって空気中の水蒸気が吹出し口や周囲の表面に付着し、結露が発生するのです。
結露が生じると、吹出し口や周囲の材料に損害を与えるだけでなく、建物内部に水滴が落ちるおそれがあります。これは清潔さや健康面の問題を引き起こすだけでなく、カビや菌を発生させるリスクを高めることにもつながります。
ダクトの吹出し口の結露対策
結露対策には、次のようなものが挙げられます。
- 断熱材を使用する
- 適切な運転条件を設定する
- 吹出し口の設置位置を調整する
- 定期的にメンテナンスを行う
ダクトそのものや吹出し口周辺に断熱材を施すことで、温度差を抑えることができます。空調システムの温度を下げ過ぎないようにしたりタイマーを設定したりするなど、適切な運転条件を設定することで、室内の温度と湿度の調整が可能です。
また、吹出し口の設置位置や角度を調整することでも、結露の発生を最小限に抑える効果があります。ダクトシステムは長期間使用し続けることで、結露やカビの発生可能性が高くなります。定期的に清掃と点検を行い、予防しましょう。
まとめ|ダクト工事なら岩元空調へお任せください
今回は、ダクトの吹出し口の役割や種類、結露に関する注意点について解説しました。ダクトの吹出し口にはさまざまな形状のものがありますが、建物タイプによって最適な形状の吹出し口があります。詳しくは以下の記事もご覧ください。
岩元空調ではダクトの設計・製造から施工・修理まで、一貫したダクト工事が可能です。自社で製造したダクト製品の販売のみも承っていますので、お客様のニーズに合わせてお気軽にご相談ください。