排煙設備はなぜ必要?2つの種類と設置基準について解説
お役立ち情報 ダクト工事 排煙ダクト
冬は暖房器具の使用や空気の乾燥などによって、火災の危険性が高まる季節です。火災の怖さは火だけでなく、煙にも十分警戒しなければなりません。
本記事では、万が一火災の際に煙を室外へ逃がす排煙設備について、役割や重要性から種類、設置基準まで説明します。
排煙設備の役割と重要性
排煙設備は、建物内で発生した火災の煙を室外に素早く排出し、室内に煙が充満するのを防ぐ役割を持つ空調設備です。
火災によって発生した煙は熱せられて空気よりも軽く、垂直に毎秒0.5~1.0メートルの速さで立ちのぼります。そして天井にぶつかると、今度は水平方向に毎秒3~5メートルのスピードで拡散。煙の量が増えて天井に充満すると、行き場を失った煙は床に向かって徐々に降下していきます。
この段階になると部屋に煙が充満して急激に視界が悪くなり、逃げる際に煙を吸い込みやすくなります。火災の煙には一酸化炭素などの有毒ガスを含むだけでなく、高温のため吸い込むと気道や肺を火傷して呼吸ができなくなる恐れも。
そこで、万が一の火災による被害を可能な限り抑えるために、排煙設備の設置が重要となるのです。
排煙設備の種類
排煙設備には、温度差や風の流れを利用する「自然排煙方式」と、機械動力を使う「自動排煙方式」の2種類があります。それぞれの種類について解説していきます。
自然排煙方式
自然排煙方式の排煙設備は、機械を使用せずに外部に面した壁に排煙口や排煙窓がされています。天井から水平に広がっていく煙を、そのまま外へ逃がします。電力が必要ないので、停電時でも使用できるのがメリットです。
しかし、外部の風や室内の温度によって排煙効率が変わってしまうというデメリットもあります。外部に面している部屋やスペースでは、自然排煙を第一に考えます。
機械排煙方式
機械排煙方式はその名のとおり、排煙機と呼ばれる空調設備を利用して煙を強制的に外へ排出します。外部と面していない地下室でも煙を排出でき、風量も安定していることが特長です。
しかし、停電などで電気を使用できない状況を想定して予備電源を確保したり、排煙の動線となるダクトを設置したり、定期的な機械のメンテナンスをしたりする必要があります。事前に取り付け工事ができる建物かどうかも、業者に確認しておきましょう。
排煙設備の設置基準
飲食店や工場の運営で必須となるのが、排煙設備の設置基準を満たすことです。建物の吸排気に関しては建築基準法施行令に記載されているため、遵守しなければなりません。
排煙設備の設置が必要な具体的な条件は、以下のいずれかに当てはまる場合です。
- 床面積500㎡を超える特殊建築物
- 床面積500㎡を超える3階建て以上の建築物
ただし、以下に当てはまる場合には排煙設備の設置は必要ありません。
- 高さ31m以下の建物で100㎡以内ごとに防煙壁や防煙垂れ壁などで区画された部分
- 100㎡以内に準耐火構造の壁がある病院やホテル、児童福祉施設などの施設
以上から、病院やホテルなどでは排煙設備が必要ではないケースが少なくありません。また、学校や階段室、エレベーターなどでも排煙設備の設置は免除されます。
まとめ|ダクト工事なら岩元空調へお任せください
万が一の火災の際には、煙を室外に排出するための排煙設備が重要な役割を持ちます。建物によって、排煙設備の設置基準が設けられています。建物が排煙設備の設置基準を満たしているかどうか、よく確認することが重要です。
岩元空調では、ダクトだけでなく排煙設備に関する工事についての相談もお受けします。お気軽にお問い合わせください。